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日本で生活するときは、日本の法律に従う必要があります。そのなかでも重要なのは、やりたい活動にあった在留資格をもらう必要があることです。
たとえば、日本で働きたい外国人は「就労ビザ」と呼ばれる在留資格を取得しなければなりません。同時に、もらった在留資格で滞在できる期間(在留期間)や、日本国内で許可される活動の種類(活動制限)も知っておきましょう。
外国人が日本でできる活動は29種類に分けられており、活動ごとに在留資格が設けられています。その種類を大きく分けると、次の6つです。
※滞在目的の在留資格と、入国目的のビザ(VISA・査証)は別のものですが、日本では「ビザ」と「在留資格」を同じ意味で使用することがよくあります。ここでは、言葉の意味をビザ=在留資格とします。
在留資格(ビザ)は、日本でやりたい活動に合わせて選ばなくてはなりません。ビザをもらったときは、認められた活動以外はできないことに注意しましょう。
ビザをもらうときは、どんな活動が認められているのか(活動制限)、どれくらい日本に滞在できるのか(在留期間)を確かめましょう。
日本での在留資格には、それぞれ決められた活動内容があり、許可された範囲外の活動をすることはできません。とくに就労を目的とする在留資格(就労ビザ)には厳しいルールがあります。
■就労ビザの活動制限
……就労ビザを持っている外国人は、申請するときに許可された職種や業務範囲内でしか働くことができません。たとえば、(技人国ビザ)の許可があると、エンジニアや通訳の仕事はできますが、飲食店のホールスタッフなどの単純労働はできません。また、アルバイトなどの副業は、資格外活動許可をもらうまで禁止されます。
■身分・地位に基づく在留資格の活動制限
……一方で、日本人の配偶者や永住者など、身分や地位に基づく在留資格を持っている人には、働くときの制限がありません。例外は「家族滞在」と呼ばれる在留資格で、原則として働くことはできません。
在留期間とは、日本での滞在を許可される期間のことです。在留資格ごとに決まっており、期間が過ぎる前に更新しないと、日本に滞在できなくなります。たとえば、在留資格のひとつである技術・人文知識・国際業務ビザ(技人国ビザ)を持っているとき、在留期間は5年・3年・1年・3か月のいずれかです。
許可が下りる可能性のある在留期間は、在留資格の種類によって決まっており、審査でどれが与えられるか決まります。在留資格を延長したい場合は、在留期間が終わる前に「在留期間更新許可申請」を行う必要があります。
日本で働くためには、適切な就労ビザを取得しなければなりません。就労ビザは職種ごとに細かく分かれており、求められる学歴や経験、在留期間の長さが異なります。技術・人文知識・国際業務ビザ、高度専門職ビザ、経営・管理ビザのほかに、特定技能ビザ・技能実習ビザなどが挙げられます。
在留資格 | 目的・該当例 | 在留期間 | 活動制限 |
---|---|---|---|
技術・人文知識・国際業務 | 機械工学等の技術者、通訳、デザイナー、語学教師等の活動 | 5年、3年、1年、3か月 | 自然科学・人文科学分野の技術・知識を要する業務、または外国文化に基盤を持つ思考・感受性を必要とする業務に限定 |
高度専門職 | ポイント制による高度人材の活動 | 1号:5年2号:無期限 | 研究、経営、技術分野での高度な専門活動。2号では複合的な活動も可能 |
経営・管理 | 企業経営者、管理者としての活動 | 5年、3年、1年、6か月、4か月、3か月 | 企業等の経営または管理業務に限定 |
特定技能・技能実習 | 詳細は以降で解説 |
在留資格のひとつである技術・人文知識・国際業務(技人国ビザ)は、専門的な知識や技術を活かして就労する外国人向けのもので、オフィスワークを行う人全般が対象です。
技人国ビザがもらえるのは、次のような人です。
◾️学歴要件
……日本または外国の大学・短期大学を卒業しているか、日本の専門学校を卒業している(専門士または高度専門士の称号を得ている)こと、もしくは関連業務について10年以上の実務経験があることなどです。
◾️業務と学歴の関連性
……従事する業務内容が大学・専門学校で専攻した科目と関連していることなどが求められます。
◾️雇用の要件
……日本の公私の機関と雇用契約を締結しており、日本人が同様の業務を行った場合と同等以上の報酬が支払われることのほか、単純労働ではなく専門知識・技術を要する業務であることなどが求められます。
◾️企業要件
……雇用する企業の経営状況が安定していること、外国人を雇用する合理的な必要性があることが求められます。
高度専門職は「高度人材ポイント制」に基づき、高度な専門性を持つ優れた外国人材を対象とした種類の在留資格です。学歴、職歴、年収などの項目ごとにポイントが設定されており、合計70点以上で取得が可能となります。ビザには1号と2号があり、1号で3年活動し、要件をクリアすれば2号に移行できるしくみです。
高度専門職ビザはもらえる要件が厳しいものの、同時にさまざまなメリットが存在します。
◾️取得するための条件
……ポイント制による評価となり、学歴・職歴・年収・年齢・日本語能力・特別加算の各項目のポイント合計が70点以上となる必要があります。
◾️優遇措置
……在留期間が最長の5年となり、2号では無期限の在留が可能です。ほかに、永住許可要件が緩やかになる、配偶者が働きやすくなる(一定の条件あり)、親や使用人の帯同が認められるようになる(こちらも一定の条件あり)などのメリットがあります。
日本で会社を設立したり、会社役員として管理に関わる外国人向けの在留資格です。取得するときは、会社の場所や、経営管理に関する知識や経験が問われます。
◾️事業所要件
……日本国内に事業専用の事務所を確保しており、事業のために利用することが契約内容などからわかることが求められます。
◾️事業規模要件
……原則として、資本金または出資金の総額が500万円以上であることが求められます。資本金・出資金の要件を満たさないときは、2人以上の常勤職員(日本人、永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、または定住者の在留資格を持つ者に限る)が必要です。
◾️経営者・管理者要件(管理者の場合)
……事業の経営、管理に関する3年以上の経験があることや、日本人が同様の職務に従事する場合に受ける報酬と同等以上の報酬を受けることなどが必要です。
特定技能や技能実習は、日本の人手不足を補うために設けられたビザで、即戦力となる外国人労働者や技能習得を目的とした研修生を対象とするものです。特定技能は16分野での専門的な仕事を、技能実習は技術を学びながら働く制度です。
在留資格 | 対象者 | 在留期間 | 活動制限 |
---|---|---|---|
特定技能1号 | 特定産業分野での業務従事者 | 1年を超えない範囲で法務大臣がここに指定する期間(通算で上限5年) | 特定産業16分野(介護、建設、農業等)での業務に限定。一定の知識・経験と日本語能力が必要。家族帯同は原則不可 |
特定技能2号 | 特定産業分野での熟練技能業務従事者 | 3年、1年、6か月 | 特定産業11分野での業務に限定。熟練した技能が必要。家族帯同可能 |
技能実習 | 技能実習生 | 技能実習1号:1年以内技能実習2号:2年以内技能実習3号:2年以内 | 技能移転を目的とした特定の実習計画に基づく活動のみ |
特定技能1号ビザは、日本の労働市場でとくに人手が不足している分野で働くためのビザです。現在対象となっているのは、次の16分野です。
在留期間は通算で5年までとなります。家族の帯同や在留は、例外を除いて認められません。
特定技能2号は、熟練した技能を有する外国人を対象とする在留資格です。最初は建設、造船・舶用工業の2分野が対象でしたが、現在は介護・自動車運送業・鉄道・林業・木材産業分野以外の11分野に広がりました。
在留期間は在留期間は3年・1年・6か月のいずれかで、1号とは違い、更新を続けて無期限に滞在することができます。家族の帯同や在留も、配偶者と子どもに限って認められます。
技能実習制度によるビザは、発展途上国からの労働者が日本で技術を学び、母国の発展に活かすことを目的としています。取得にあたっては、実習先の会社が外国人技能実習機構(OTIT)による計画認定を受ける必要があります。
技能実習2号を良好に修了した外国人は、特定技能ビザに変更できます。技能実習期間(最大5年)と特定技能1号の期間(最大5年)を合わせると、通算で最大10年まで在留可能です。
研究や文化、専門資格が必要な仕事をする外国人向けのビザです。教授や芸術家、法律関係の専門職、日本企業の内部異動者などが対象になります。
在留資格 | 対象者 | 在留期間 | 活動制限 |
教授 | 大学教授等として研究、研究の指導、教育活動を行う | 5年、3年、1年、3か月 | 大学等の高等教育機関での教育・研究活動に限定 |
芸術 | 作曲家、画家、作家など芸術分野での活動 | 5年、3年、1年、3か月 | 収入を伴う音楽、美術、文学その他の芸術上の活動に限定(興行を除く) |
宗教 | 外国の宗教団体から派遣される宣教師等の活動 | 5年、3年、1年、3か月 | 外国の宗教団体により派遣された宗教家の布教その他の宗教上の活動に限定 |
報道 | 外国の報道機関の記者、カメラマン等の活動 | 5年、3年、1年、3か月 | 外国の報道機関との契約に基づく取材その他の報道上の活動に限定 |
医療 | 医師、歯科医師、看護師等の活動 | 5年、3年、1年、3か月 | 医師、歯科医師など法律上資格を有する者の医療業務に限定 |
法律・会計業務 | 弁護士、公認会計士等の活動 | 5年、3年、1年、3か月 | 外国法事務弁護士、外国公認会計士など法律上資格を有する者の法律・会計業務に限定 |
企業内転勤 | 外国の事業所からの転勤者の活動 | 5年、3年、1年、3か月 | 外国にある事業所からの転勤者による技術・人文知識・国際業務の活動に限定 |
介護 | 介護福祉士としての活動 | 5年、3年、1年、3か月 | 介護福祉士の資格を持つ者による介護業務に限定 |
技能 | 外国料理の調理師、スポーツ指導者等の活動 | 5年、3年、1年、3か月 | 産業上の特殊な分野に属する熟練した技能を要する業務に限定 |
研究 | 研究者としての活動 | 5年、3年、1年、3か月 | 公私の機関との契約に基づく研究活動に限定(教授の活動を除く) |
興行 | 俳優、歌手、プロスポーツ選手等の活動 | 3年、1年、6か月、3か月、15日 | 演劇、演芸、歌謡、舞踊、スポーツ等の興行に係る活動に限定 |
日本で学ぶためのビザには、留学生向けの「留学ビザ」、企業や官公庁で研修を受けるための「研修ビザ」、日本の文化や芸術を学ぶための「文化活動ビザ」があります。これらのビザは、基本的に就労を目的としたものではありませんが、一部は資格外活動許可を取得してパート・アルバイトをすることができます。
■留学ビザ
……日本の大学・専門学校・日本語学校に通う学生が対象で、資格外活動許可を取得すれば週28時間以内でアルバイトできます。
■研修ビザ
……企業や官公庁などでの研修を受ける外国人が対象で、原則として就労はできません。
■文化活動ビザ
……日本文化・芸術の研究や習得を目的とする外国人が対象です。例として、日本の茶道や武道、伝統芸能を学ぶ場合が挙げられます。
日本に住む外国人の中には、仕事や学習ではなく、日本人との結婚や家族関係などを理由に滞在する人もいます。これらのビザは「身分・地位に基づく在留資格」と呼ばれ、就労ビザよりも自由度が高いことが特徴です。
■日本人の配偶者等
……日本人と結婚した外国人向けのビザで、自由に働くことができます。活動制限はなく、就労・起業も自由です。
■永住者・永住者の配偶者等
……日本で長く生活する外国人やその家族向けのビザです。永住者の配偶者または子供が対象となります。
日本で長く生活したいと考える人には「定住者」や「家族滞在」といった種類のビザがあります。
■定住者
……特別な理由で日本に長く住むことを認められた外国人向けのビザです。日系人、外国人の配偶者の連れ子など特別な事情のある外国人となり、活動制限はなく就労・起業が自由です。
■家族滞在
……日本で働く外国人が、自分の家族(配偶者や子ども)を呼び寄せるためのビザです。資格外活動許可を取得すれば、所定時間の範囲でパートやアルバイトもできます。
観光や短期間の商談、親族訪問などがしたいときは「短期滞在」という種類のビザを申請します。在留期間は15日・30日・90日のいずれかで、原則的に更新はできません。日本で働いたり、報酬を受けたりする活動は原則として不可能です。
日本には、一般的な就労ビザや学習ビザとは異なる、特別な目的のために認められた在留資格があります。これには、外国政府の関係者が対象となる「外交・公用ビザ」、特定の活動に従事する外国人向けの「特定活動ビザ」、短期間の滞在を希望する方向けの「短期滞在ビザ」などがあります。
■外交・公用
……外国政府の外交官やその家族、国際機関の職員が対象となるビザです。
■特定活動
……特定の目的で日本に滞在する外国人向けのビザで、ワーキングホリデーやEPA(経済連携協定)による滞在者が含まれます。
日本のビザ制度は、滞在目的や活動内容によってさまざまな在留資格が存在します。とくに就労ビザは職種ごとに細かく分かれており、学歴や経験、在留期間の長さが異なります。ほかには、在留期間の更新や資格外活動許可についても理解しておきたいところです。
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