日本人と結婚した外国人は「配偶者ビザ」と呼ばれる特別なビザが必要です。このビザをもらうためには、いくつかの条件があり、申請の手続きも少し複雑です。ここでは、配偶者ビザとは何か、誰が申請できるのか、どんな条件が必要なのか、そしてどうやって申請するのか、わかりやすく説明します。
日本人と結婚して日本で暮らそうとする人は「日本人の配偶者等」という種類の在留資格(ビザ)をもらう必要があります。ここでは「配偶者ビザ」と呼んで、基本的なポイントを整理してみましょう。
日本の配偶者ビザを申請できるのは、日本人と婚姻関係にある(法的に結婚している)人です。日本人の子どもとして生まれた人(実子)や、法律の手続きで日本人と親子になった人(養子)も、配偶者ビザを申請できます。
配偶者ビザを持っていると、日本での仕事に制限がありません。どんな種類の仕事でも、フルタイムやパートタイムなど、働く時間も自由に選べます。ですから、自分で働いて生活費を稼ぐことも可能です。日本人パートナーに頼らなくても、自分で家族を支えることもできます。
配偶者ビザには、日本にいられる期間(在留期間)が決まっています。通常は1年、3年、または5年、3か月の場合もあります。期間が近づいてきたときは、更新の手続きをしなければいけません。
なお、ビザを利用して日本人との結婚生活を長く続けることができれば、日本にいる期間が1年以上・結婚生活3年以上などの条件を満たしたときに「永住許可申請」ができるかもしれません。申請が通れば、期間を決めずに日本にいることができます。
配偶者ビザをもらうためには、いくつかの大切な条件があります。ビザや在留資格を扱う日本の出入国在留管理局(入管)は、ビザを許可するかどうか決めるとき、主に4つの点を確認します。これらの条件をよく理解して、申請の準備を進めることが重要です。
まず、一番大切なのは、日本人と法律の上で正式に結婚していることです。自分の国と日本の両方で、法律に従った結婚の手続きが完全に終わっている必要があります。申請するときには、それぞれの国で結婚したことを証明するもの(結婚証明書など)を提出しましょう。
なお、結婚の届け出をしていない「事実婚」や、一緒に住んでいるだけの「内縁関係」では、このビザは申請できません。いまの日本の法律では同性同士の結婚は認められていないため、同性パートナーの場合も配偶者ビザの対象にはなりません。
法律で結婚していることだけでなく、本当に夫婦として一緒に生活しているか、これから一緒に生活する予定があるかなども確認されます。そのために「一緒に撮った写真」や「メールやSNSでのメッセージのやり取り」などを証拠として提出しなければなりません。
もし、付き合った期間が短い、会った回数が少ない、または二人の年齢が大きく離れているなどの場合は、とくに丁寧に説明することが大切です。基本的に、夫婦が一緒に住んでいることも求められます。
日本で夫婦として、ほかの人の助けを借りずに、2人だけで安定して生活できるだけの収入や貯金があることも大切な条件です。収入があることを証明するときは、銀行の口座にいくら入っているのかわかるもの(通帳の写し)や、日本国内でもらった納税証明書・課税証明書などが必要です。
申請する外国人の人が、これまで日本の法律やルールをきちんと守って生活してきたかどうかも確認されます。過去にビザの期限が切れて日本に滞在したこと(オーバーステイ)がないか、また犯罪を犯したことがないかなどがチェックされます。日本の税金や社会保険料をきちんと支払っていることも、とても大切です。
なお、日本で難民申請したことが不利になることもあります。不安があるときは日本の行政書士などに相談してみましょう。
配偶者ビザの申請方法は、海外にいるか日本にいるかによって少し違います。手続きの流れや、どんな書類が必要になるのかを、しっかり確認して準備を進めましょう。分からないことがあったら、早めに調べておくことが大切です。
もしあなたがまだ日本に住んでいないなら、まず在留資格認定証明書(Certificate of Eligibility/略称COE)という書類をもらうための申請を、日本の出入国在留管理局(入管)にする必要があります。この申請は、原則日本人のパートナーが行います。
無事に在留資格認定証明書が発行されたら、日本人のパートナーから送付してもらい、受け取ったCOEを持って自分の国の日本大使館や領事館で入国ビザ(査証)を申請しましょう。ビザが発行されてから3か月以内には、パスポートと在留資格認定証明書を持って日本に入国しなければなりません。
すでに留学ビザや働くためのビザなどを持っている人(日本に住んでいる外国人)が日本人と結婚した場合は、在留資格変更許可申請という手続きをします。この申請は、住んでいる場所を管轄する出入国在留管理局(入管)で行います。
審査が下りると手紙(オンライン申請の場合はメール)が届きます。届いた手紙に記載されているものを持って入管に行き、手数料を払って新しい在留カードを受け取りましょう。
配偶者ビザをもらおうとするときは、さまざまな書類が必要です。一般的には、下で紹介する書類をすべて揃えなければなりません。
配偶者ビザをもらうとき、申請手続きそのものにお金はかかりません。ただし、日本国内でビザの種類を変える申請などが許可されたときには、新しい在留カードを受け取るために6,000円(オンライン申請の場合は5,500円)の手数料がかかります。これは、収入印紙と呼ばれる方法で用意します。
そのほかにも、日本で個人について証明するときの「戸籍謄本」や「住民票」などの書類を発行してもらうための手数料や、外国語の書類を翻訳してもらう費用がかかります。もし専門家(行政書士など)に申請の手伝いを頼む場合は、その報酬も必要です。
配偶者ビザの申請は、残念ながら必ず許可されるわけではありません。準備をしっかりしても、不許可になってしまうこともあります。そのため、どんな場合に不許可になりやすいのか、そしてもし不許可になったらどうすればいいのかを知っておくことが大切です。万が一のために、申請した書類のコピーは必ず自分で持っておきましょう。
配偶者ビザが不許可になる理由はいくつかありますが、よくあるのは次のような場合です。
■結婚が本当かどうか疑われるケース
……付き合った期間がとても短い、出会い方が少し不自然、夫婦なのにあまり連絡を取り合っていない、一緒に住んでいないなどの場合は「ビザのためだけの嘘の結婚ではないか」と疑われやすくなります。
■日本で安定した生活ができるか心配されるケース
……夫婦で生活していくためのお金(収入)が少なすぎたり、収入が不安定だったり、税金をきちんと払っていなかったりすると、日本で暮らしていくのが難しいと判断されてしまうことがあります。
■過去に日本のルールを守らなかったことがあるケース
……以前にビザの期限が切れても日本にいたり(オーバーステイ)、ビザで許されている以外の活動(例えば、留学ビザでアルバイトをしすぎるなど)をしたり、犯罪をしたりしたことがあると、許可をもらうのが難しくなることがあります。
■提出した書類に問題があるケース
……必要な書類が足りなかったり、書類に書いた内容に間違いや嘘があったりすると、申請内容が信じられないと判断され、不許可の原因になります。
もし配偶者ビザの申請が不許可になってしまっても、諦めないでください。まず一番大切なのは、なぜ不許可になったのか、その理由をはっきりさせることです。
理由が分かれば、再申請できる可能性があります。不許可になった原因を解決したり、足りなかった説明を加えたりして、もう一度申請にチャレンジしましょう。そのためにも、最初に提出した書類のコピーを見て、どこに問題があったのか、説明が足りなかった部分はどこかなどを確認することが大切です。
自分で理由を聞きに行ったり、再申請の準備をしたりするのが難しいと感じる場合は、ビザ申請の専門家である行政書士に相談するのも良い方法です。専門家は、どうすれば許可の可能性を高められるかアドバイスをくれます。
配偶者ビザの申請は、自分ですることも、日本で「行政書士」の資格を持つ専門家にお願いすることもできます。どちらにも良い点と、少し大変な点があります。
自分で申請する場合は、専門家にお金を払う必要がないので、費用を安く抑えられるのが一番のメリットです。しかし、必要な書類を集めたり、たくさんの書類を作成したりするのは、とても時間と手間がかかります。また、ビザの専門知識がないと、書類に不備があったり、説明が足りなかったりして、審査に時間がかかったり、不許可になったりするリスクも高くなります。
一方、行政書士に依頼する場合は、費用がかかります。費用の目安は、だいたい10万円から15万円くらいですが、状況によって変わることもあります。
しかし、専門家はビザ申請の経験が豊富なので、複雑な書類の準備や作成を任せられます。時間と手間を大きく減らせるだけでなく、審査のポイントをよく知っているため、許可をもらえる可能性を高めることができます。もし不許可になった場合でも、その後のサポートを期待できるでしょう。
どちらの方法が良いかは、あなたの状況によります。費用を節約したいか、時間や手間を省いて確実に許可を取りたいかなどを考えて、決めると良いでしょう。
日本の配偶者ビザ(在留資格「日本人の配偶者等」)は、日本人と結婚した外国人が日本で安心して暮らすためにとても大切なものです。ビザをもらうためには、法律上の結婚をしていること、本当の夫婦であること、生活のためのお金があること、そして日本のルールを守っていることなどが重要です。
手続きが難しいと感じたり、確実にビザを取りたいと思ったりする場合は、ビザの専門家である行政書士に相談することをおすすめします。行政書士法人Luxentでは、日本で新生活を始める人を応援しています。
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