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高度専門職ビザは、専門的な知識や経験を持つ人が日本でより良い生活を送るための特別な在留資格です。
ここでは「高度専門職ビザ」とは何か、どんなメリットがあるのか、そして申請のポイントや手続きについて、やさしい日本語で詳しく解説します。難しい言葉や手続きも、順を追ってわかりやすく説明しますので、ぜひ最後までご覧ください。
高度専門職ビザとは、日本の学術研究や経済の成長を手伝ってくれる、優れた能力を持つ外国人のための特別なビザです。このビザを持つ人、これから取る人は「高度外国人材」と呼ばれ、ほかの就労ビザでは得られない多くのメリットがあります(下記)
高度専門職ビザ1号と2号の2種類があります。まず1号の許可をもらい、そのまま3年以上日本での活動を続けると、さらに良い条件が揃っている2号へステップアップできます。
高度専門職1号のビザはイ・ロ・ハの3つのタイプがあり、それぞれ次のような人が対象となります。
■高度専門職1号イ(研究者タイプ)
……大学の先生や、企業の研究開発部門などで働く研究者のような、学術的な研究活動を行う人が対象です。
■高度専門職1号ロ(技術者・専門職タイプ)
…… ITエンジニア、デザイナー、コンサルタント、マーケターといった、自然科学や人文科学の分野で専門的な知識や技術を活かして働く人がこのタイプに当てはまります。日本で働く多くの専門職の外国人が、この「ロ」を目指すことになるでしょう。
■高度専門職1号ハ(経営者タイプ)
……会社の社長や役員、部長といった立場で、事業の経営や管理を行う活動をする人が対象です。
高度専門職2号は、高度専門職1号のビザを持って日本で3年以上活動した人が申請できる、さらに特別な在留資格です。このビザの最大のメリットは、ビザの更新をせずに日本にいられる期間(在留期間)が無期限になることです。
さらに、仕事の範囲も大きく広がります。1号では「イ」「ロ」「ハ」のどれか決められた活動しかできませんでしたが、2号ではその制限がほぼなくなり、法律で認められているほとんどの種類の仕事に就けます。
高度専門職ビザが「特別なビザ」と言われるのは、たくさんのメリットがあるからです。日本での生活やキャリアにとって、とても有利な条件がそろっています。すでに触れましたが、具体的には次のとおりです。
通常、永住権を申請するためには、原則として10年以上日本に住み続ける必要があります。しかし、高度専門職ビザを持っており、高度人材ポイント制で80点以上と非常に高い評価を受けるときは、なんと最短「1年」で永住権を申請できる可能性があります。これは、その人の能力が日本へ大きく貢献すると期待されている証であり、特別に認められているルールなのです。
ビザの更新は、少し面倒に感じる手続きかもしれません。高度専門職1号のビザは、最初から法律で決められている一番長い期間である「5年」の在留期間が与えられます。
ほかの就労ビザでは、最初は1年や3年の在留期間から始まることが多いため、それに比べて更新の手間が少なくなります。5年という長い期間があれば、ビザのことをあまり心配せずに、腰を据えて日本でのキャリアプランや将来のライフプランをじっくりと立てることが可能になるでしょう。
あなたにとって大切な家族と、日本で一緒に安心して暮らせることも、高度専門職ビザの大きなメリットです。
■配偶者(夫や妻)の就労
……夫や妻は、ふつうより緩やかな条件で日本で働くことができます。学歴や職歴などの厳しい条件なしに、フルタイムで仕事ができます。
■親の帯同
……一定の条件を満たすことで、生活をサポートしてくれる家族を呼び寄せることができます。たとえば、あなたの世帯年収が800万円以上の場合、自分の親(または配偶者の親)を日本に呼んで一緒に住むことが認められる場合があります。これはほかの就労ビザにはない特例です。
■使用人の帯同
……世帯年収が1,000万円以上など特定の条件を満たせば、家事を手伝ってくれる「家事使用人」を母国から一緒に連れてくることも可能です。
高度専門職ビザの申請は、出入国在留管理局(入管)で「優先審査」の対象となります。ほかのビザ申請に比べて、優先的に審査が進められるため、結果がわかるまでの待ち時間が短くなるのです。
目安として、海外から日本に来る場合(在留資格認定証明書交付申請)は約10営業日、日本国内でほかのビザから変更する場合(在留資格変更許可申請)は約5営業日で処理されることになっています。
通常の就労ビザでは、許可された1つの種類の仕事しかできません。たとえば、エンジニアとして許可を得た場合、翻訳の仕事で収入を得ることは原則として認められません。
しかし、高度専門職ビザを持っていると、この活動の制限が大きく緩和されます。許可された主な活動を行いながら、それに関連するビジネスを自分で始めたり、別の種類の仕事をしたりと、複数の活動を同時に行うことが可能です。
たとえば、平日はITエンジニアとして会社で働き、週末は自分の知識を活かして小さな会社を経営するといった働き方も夢ではありません。これにより、あなたのキャリアの選択肢は大きく広がり、収入を増やすチャンスも生まれるでしょう。
高度専門職ビザがもらえるかどうかは「高度人材ポイント制」という特別なルールで決まります。能力やこれまでの経歴を、客観的な点数(ポイント)で評価するしくみであり、ポイントの合計が70点以上になれば、あなたは「高度人材」として認められ、ビザを申請する道が開かれます。
ここでは、そのポイントがどのように計算されるのか、できるだけわかりやすく解説していきましょう。
ポイントは、主に「学歴」「職歴」「年収」「年齢」という4つの基本的な項目から成り立っています。それぞれ、どのような評価になるのか見ていきましょう。
■学歴
……高い学位を持っているほど、ポイントは高くなります。たとえば、博士号を持っていると30点、修士号なら20点、大学卒業(学士号)の場合は10点です。
■職歴(実務経験)
……専門分野での仕事の経験が長いほど、高く評価されます。経験が10年以上ある場合は20点、7年以上で15点、5年以上で10点、3年以上で5点というようにポイントが付きます。
■年収
……年収が高いことも、大きなポイントになります。ただし、この項目はあなたの年齢によって、もらえるポイントが変わる少し複雑な仕組みです。まず、最低でも年収300万円以上であることが必要になります。そこから、年収800万円以上あれば30点、1000万円以上なら40点とのように、収入が多いほどポイントも増えていきます。
■年齢
……この制度では、若い人材が高く評価される傾向があります。たとえば、申請する時に29歳以下であれば15点、34歳以下なら10点、39歳以下なら5点が加算される仕組みです。
基本のポイントのほかに、特別な能力や経歴によって、さらにポイントをプラスできる「特別加算」という項目があります。
■日本語能力
……日本語能力試験(JLPT)で高いレベルに合格していると、大きなボーナスポイントになります。N1に合格している場合は15点、N2でも10点が加算されます。
■学歴に関するボーナス
……日本の大学や大学院を卒業していると、それだけで10点のプラスです。また、世界の大学ランキングで上位に入るような有名な大学を卒業している場合も、10点が加算されることがあります。
■その他のボーナス
……そのほかにも、特許を持っているなどの優れた研究実績、日本の国家資格(情報処理技術者など)の保有、国が定める成長分野の事業(先進的なIT事業など)で働くことなども、ポイントアップにつながります。
高度人材ポイントの申請では、ふつうの就労ビザ取得や変更に必要となる書類に加えて、ポイント計算表とその根拠となる書類が必要です。具体的には、次のとおりです。
高度専門職ビザの申請では、通常の就労ビザの書類に加えて、あなたのポイントを証明するための書類が必要です。そのため、準備するものが多くなります。以下は、一般的に必要となる書類の例です。
■申請書と基本の書類
……まず、在留資格変更許可もしくは取得許可のための申請書が必要です。海外から初めて日本に来る場合は「在留資格認定証明書交付申請書」、すでに日本にいてビザを変更する場合は「在留資格変更許可申請書」を使います。そのほかに、証明写真やパスポート、在留カードのコピーも準備します。
■ポイントに関する書類
……自分で作ったポイント計算表と、その点数が正しいことを証明する書類が求められます。例えば、学歴を証明する卒業証明書、職歴を証明する在職証明書、年収がわかる給与証明書、日本語能力を証明する日本語能力試験(JLPT)の合格証明書など、ポイント計算で使ったすべての項目について、それを裏付ける公式な書類が必要です。
■会社に関する書類
……勤め先の会社の事業内容や規模がわかるものとして、登記事項証明書や会社について説明しているパンフレット、法定調書合計表などが必要です。
※これはあくまで一例であり、申請するときの状況や会社の規模によって必要な書類は変わります。
高度専門職ビザは、永住権が早く取れる、家族と一緒に住みやすい、仕事の幅が広がるなど、多くのメリットがあります。
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