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ベトナム人が日本で働いたり生活したりするためには、在留資格(ビザ)の取得が必要です。しかし、どこで、どのような手続きをすればよいのか分からず、不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
ここでは、ベトナムから日本に来るための手続きの流れや、申請できる場所、必要な書類の取得方法について詳しく解説します。
ベトナムから日本に来るためには、目的や滞在する期間に応じた手続きが必要です。ここでは、日本に入国するための基本的な許可の種類と、入国までの流れについて説明します。
日本に入国し滞在するためには、大きく分けて在留資格と査証(ビザ)という2つの許可が必要です。
■在留資格とは
……外国人が日本で行うことができる活動の内容や、日本に滞在できる身分や地位を示すものです。就労や留学、家族との同居など、滞在の目的によって約30種類の在留資格があり、それぞれに許可される活動の範囲や滞在期間が決められています。
■査証(ビザ)とは
……外国人が日本に入国しようとする際、その外国人の持つパスポートが有効であり、日本への入国が適当であることを示す推薦状のような役割を果たします。
つまり、在留資格が認められ、さらに査証が発給されることで、初めて日本に入国できるようになるのです。
日本に入国するための手続きは、滞在期間で違いがあります。中長期滞在のときは、入国後必要な手続きにも注意しましょう。詳しくは次のとおりです。
観光、親族を訪ねるとき、ビジネスで立ち寄るときなど90日以内の滞在を予定しているときは、査証申請のときに在留資格ももらえます。短期滞在でもらえる在留資格は「短期滞在」という種類です。
働くため・学ぶため・家族と同居するためなどの目的で3か月を超えて日本に滞在するときは、在留資格認定証明書(COE)をもらってから査証を申請しなければなりません。
入国後の日本での生活では、下記の2点に注意しましょう。
日本への入国・滞在に関する手続きは、内容によって申請する場所が異なります。在留資格に関する手続きは日本国内で、査証に関する手続きはベトナム国内で行います。
ここでは、それぞれどこで手続きができるのか、詳しく見ていきましょう。
在留資格認定証明書(COE)の交付申請や、在留資格の変更・更新などの手続きは、申請する場所は、住む予定の場所や勤め先、通う学校のある場所を管轄する入管です。
日本で受入れを行ってくれる人あるいは会社(勤め先・学校・家族など)がCOE交付申請を行う場合、オンライン申請システムを利用することもできます。オンライン申請を利用すれば、窓口に行かずに自宅やオフィスから申請でき、COEも電子メールで受け取ることができます。
また、入国後にマイナンバーカードの交付を受けた外国人本人も、マイナンバーカードを利用し、オンラインで在留期間の更新や在留資格の変更などの手続きを行えます。
日本に入国するための査証申請は、ベトナム国内にある日本大使館または総領事館で行います。申請する場所は、住んでいる地域によって決まっています(下記)
■ハティン省以北に住んでいる人
……ハノイにある在ベトナム日本国大使館で申請します。
■クアンチ省からザーライ省までの間に居住する人
……在ダナン日本国総領事館で申請します。
■ダクラック省以南に居住する人
……ホーチミン市にある在ホーチミン日本国総領事館で申請します。
査証の申請はふつう、本人または代理人が直接窓口で行う必要があります。郵送やメール、FAXでの申請はできません。申請するときは、
などを提出しましょう。
査証の審査には通常数日から1週間程度かかりますが、追加で書類提出を求められた場合はさらに時間がかかることがあります。
なお、在ベトナム日本国大使館や総領事館では、うその申請に対して厳しく対処しています。うその書類を提出したり、事実と異なる内容を申告したりした場合、査証の発給が拒否されるだけでなく、拒否された日から6か月間は同一目的での再申請ができなくなります。
申請するときに提出するものは、正確な情報が書かれているか必ずチェックしましょう。
ベトナムから日本に来るときは、いくつかの注意すべきポイントがあります。とくに在留資格「特定技能」を取得する場合や、公的書類の準備には、ベトナム人特有の手続きが必要です。
ここでは、スムーズなビザ取得のために押さえておきたい重要なポイントを説明します。
特定技能の在留資格でベトナムから日本に来る場合、ベトナム労働・傷病兵・社会問題省海外労働管理局(DOLAB)から「推薦者表」(特定技能外国人表)の承認と発行を受けなくてはなりません。
ベトナムから新たに来日する場合、まず日本の受入れ機関がベトナム政府の認可を受けた送り出し機関と「労働者提供契約」を締結し、DOLABから契約の承認を得ます。
その後、受入れ機関と外国人本人が雇用契約を締結し、本人がDOLABに推薦者表の発行を申請します。推薦者表が発行されたら、日本の入管にCOE交付申請を行います。
すでに日本に滞在しているベトナム人が特定技能に変更する場合も、事前に駐日ベトナム大使館から推薦者表の承認と発行を受けなくてはなりません。推薦者表は在留資格変更許可申請のときに提出が求められるため、必ず準備しておきましょう。
在留資格の申請では、無犯罪証明書や出生証明書、婚姻証明書など、ベトナム政府が発行する公的書類の提出が求められることがあります。これらの書類はベトナム語で発行されるため、日本の入管に提出する際には日本語への翻訳が必要です。
翻訳は専門の翻訳会社に依頼するか、日本語が上手な知人に依頼することもできます。翻訳文には翻訳者の氏名と連絡先を明記する必要があります。
また、重要な書類については、
などを求められることがあります。
特定技能の在留資格を取得するには、日本語のスキルを確かめる試験と、働こうとする分野の技能測定試験に合格しなくてはなりません(技能実習2号または3号を良好に修了した人は免除されます)
日本語のスキルを確認するための試験は、
のどちらかでN4レベル以上の合格が必要です。
JLPTは年に2回(7月と12月)、世界各地で実施されており、N1からN5までの5段階に分かれています。一方、JFT-Basicは特定技能のために開発された試験で、CBT方式(コンピュータ試験)で実施されるため、年間を通じていつでも・何回でも受験できます。
技能測定試験は分野ごとに異なる内容で実施されており、介護、外食、飲食料品製造、農業、ビルクリーニング、製造業など、それぞれの業務に必要な技能レベルを測定します。試験の実施時期や場所、申し込み方法は分野ごとに異なるため、勤め先や資格試験の公式サイトで確認しましょう。
試験の準備には時間がかかるため、来日予定の数か月前から勉強を始めることをおすすめします。
ビザ申請を進めるにあたり、多くのベトナム人が疑問に感じることがあります。ここでは、よくある質問とその回答をまとめました。
A. ビザ申請に必要な書類の多くは、ベトナム国内の公的機関でもらいます。下の表に、主な書類の取得場所と所要時間を整理しました。
| 書類の種類 | 取得場所 |
|---|---|
| 無犯罪証明書(司法履歴書) | 居住地の司法局 |
| 出生証明書 | 出生地の人民委員会 |
| 婚姻証明書 | 婚姻登録した人民委員会 |
| 独身証明書 | 居住地の人民委員会 |
| パスポート | 各省市の出入国管理局 |
無犯罪証明書は発行に時間がかかるため、とくに早めに申請を開始する必要があります。また、出生証明書や婚姻証明書は、紛失している場合は再発行に時間がかかることがあるため、早めに確認しておきましょう。
※参考1:ベトナム政府公式サイト
※参考2:ホーチミン司法局公式サイト
A. 日本の入管に提出する書類は、基本的にはすべて日本語に翻訳する必要があります。
翻訳は専門の翻訳会社に依頼するのが確実ですが、日本語が上手な知人に依頼することもできます。翻訳文には、翻訳者の氏名、住所、連絡先を明記し、署名する必要があります。
翻訳が正確かどうかは、入管の審査に影響します。難しい言葉が含まれる書類は、経験のある翻訳者に依頼することをおすすめします。
A. 日本に入国した後、生活や仕事に関する相談ができる窓口がいくつかあります。在留資格の種類や相談内容によって、適切な窓口が異なります。
特定技能の在留資格で働く場合は、受入れ機関または登録支援機関が生活支援を提供します。登録支援機関は、住居の確保、銀行口座の開設、携帯電話の契約、日本語学習の支援、生活オリエンテーションなど、さまざまなサポートを行います。困ったことがあれば、まず登録支援機関に相談しましょう。
地方自治体の外国人相談窓口も利用できます。多くの市区町村には、外国人住民向けの相談窓口があり、行政手続き、医療、教育、生活全般について多言語で相談できます。住んでいる地域の役所に問い合わせてみてください。
在日ベトナム大使館労働管理部(東京)では、ベトナム人労働者からの相談を受け付けています。労働条件や雇用契約に関する問題、在留資格に関する相談などに対応しています。
出入国在留管理庁の外国人在留総合インフォメーションセンターでは、在留手続きや在留資格に関する質問にベトナム語でも対応しています。電話やメールで相談できます。
外国人技能実習機構(OTIT)は、技能実習生の保護や支援を行う公的機関です。技能実習から特定技能に移行した人や、技能実習中に問題があった場合などに相談できます。
ベトナムから日本に来るためのビザ申請には、在留資格認定証明書の取得、査証申請、各種公的書類の準備など、多くの手続きが必要です。手続きの流れや必要書類を正しく理解し、計画的に準備しましょう。
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