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日本で暮らしたい、働きたい、学びたいと考えている外国人には、在留資格が必要です。在留資格は一般に「ビザ」と言い、日本でやりたいことに合わせて種類を選ばなくてはなりません。
ここでは、日本のビザの種類、申請方法、必要書類、更新手続きなどをやさしい日本語で説明します。
日本に住むためには、適切なビザ(在留資格)が必要です。ビザには多くの種類があり、それぞれできることが異なります。具体的には、仕事をするためのビザ、学校に通うためのビザ、家族と暮らすためのビザなどがあります。
※入国目的のビザ(VISA・査証)と、滞在目的の在留資格は異なるものです。しかし、日本では在留資格を指して「ビザ」と呼ぶときが多く見られます。そこで、ここでも在留資格をビザと呼ぶことにします。
日本にいられる期間(在留期間)は、ビザの種類によって異なります。短いときは3か月、長いときは5年までの滞在が認められます。
在留資格を持つ外国人は、在留期間が切れる前に更新しなければなりません。更新するときも、最初にビザをもらったときと同じように、必要書類を準備して日本の出入国在留管理局(入管)に申請する必要があります。
基本的には、日本でなにか活動するとき、その活動の内容に合わせ在留資格が必要です。観光や出張のため数日から数週間程度のあいだだけ日本に来るときでも「短期滞在」という種類のビザが必要です。
とはいえ、ビザが不要なケースもあることも確かです。たとえば、一部の国のパスポートを持つ人は、日本に観光や短期間の商談で訪れる場合、ビザなしで入国できる制度があります。ただし、短期滞在ビザでは報酬を得る仕事はできません。
日本で仕事をするときは、就労ビザと呼ばれる「働くための在留資格」が必要です。仕事の種類によって取得できるビザが異なり、ビザの条件を満たさなければなりません。具体的には、
とのように種類が決められています。
日本の就労ビザには、さまざまな種類があります。仕事の内容によって、取得できるビザが決まっています。
■技術・人文知識・国際業務(技人国ビザ)
……エンジニアやコンサルティング、海外取引業務など企業の専門職向けのビザです。主にホワイトカラーの仕事が該当します。
■特定技能1号・2号
……特定の産業で働くためのビザです。介護、建設、宿泊、外食業などの分野で人手不足を補うために設けられました。
■技能
……料理人や職人など、特別な技術を持つ人のためのビザです。例として、ベトナム料理の調理師や貴金属等の加工職人などが該当します。
■経営・管理
……日本で会社を経営するためのビザ。起業家や企業の管理者向けのビザです。
■医療
……医師、看護師など、医療分野で働く人が取得するビザです。
在留資格の種類のひとつである「技術・人文知識・国際業務」(技人国ビザ)は、日本の会社でいわゆるホワイトカラーの仕事をする外国人のためのビザです。具体的には、ITエンジニア、通訳、マーケティング担当者などが対象です。
技術・人文知識・国際業務ビザの許可がもらえるのは、大まかに次の条件に合うときです。
申請には、働くにあたっての条件がわかる通知書(労働条件通知書)や、学歴や経験がわかる書類(卒業証明書や在職証明書など)のほか、会社のことがわかる書類(登記事項証明書など)が必要です。
■日本にいられる期間(在留期間)
……3か月、1年、3年、5年のいずれか(更新できます)
在留資格の種類のひとつである「特定技能」は、日本の人手不足を補うために設けられたビザです。介護、建設、宿泊、外食、製造業などの分野で働く外国人が対象です。特定技能ビザには1号と2号があり、1号は最長5年間滞在できますが、特定技能2号は在留期間の上限がなく、将来家族を連れてくることも可能です。
特定技能ビザの許可がもらえるのは、次の条件に合うときです。
なお、特定技能ビザを持つ外国人を雇う会社にも「外国人労働者の生活支援を行うこと」や「労働条件を日本人と同等以上にすること」などの条件があります。
■日本にいられる期間(在留期間)
……特定技能1号は1年を超えない範囲で個別に許可される期間(更新しても通算5年まで)、特定技能2号は6か月・1年・3年のいずれか(更新して通算5年以上いられます)
日本には、専門的な職業に対応した就労ビザもあります。たとえば、次のようなものです。
■経営・管理
……日本で会社を設立し経営する人や、企業の管理職向けのビザです。
■技能
……調理師やスポーツ指導者など、特殊な技能を持つ人が取得するビザです。例えば、外国人シェフやプロスポーツコーチが該当します。
■興行
……芸術活動やスポーツ選手向けのビザです。たとえば、歌手や俳優、プロスポーツ選手が取得できます。
就労ビザ以外にも、日本にはさまざまなビザがあります。例として、留学生が取得する「留学ビザ」、外国人の家族が一緒に暮らすための「家族滞在ビザ」、日本人と結婚した人のための「日本人の配偶者等ビザ」などがあります。また、日本に長く住むための「永住者ビザ」や「定住者ビザ」もあります。
日本の大学や専門学校で学ぶ外国人が取得するビザです。原則として、勉強が目的のため、フルタイムで働くことはできません。もっとも、資格外活動許可をもらうための手続きをして許可が下りたときは、週28時間以内のアルバイトが可能です。
日本で働く人・学ぶ人が、配偶者や子どもを短期間招くためのビザです。申請するには、扶養者(日本にいる家族)が在留資格の手続きをしなければなりません。許可がでると、査証や空港での審査を経て入国できるようになります。
日本人と結婚した配偶者や、日本人の子どもが取得できるビザです。配偶者の場合、結婚が偽装ではなく、実際に夫婦として生活していることを証明する必要があります。このビザを取得すると、日本で制限なく働くことができます。
永住者ビザの許可が下りると、日本にいられる期間の更新手続きする必要がなくなります。安定した収入があり、日本で長期間生活している人が取得できます。
一方、定住者ビザは、法務大臣が特別な理由を考慮して許可するビザです。定住者ビザには在留期間があり、更新する必要があるものの、就労の制限がなく、幅広い職業に就くことができます。
日本でのビザ申請は、在留資格の種類によって手続きが異なります。たとえば、外国から新しくビザを取得する場合と、日本にいるあいだにビザの種類を変える・在留期間を伸ばす場合とでは、やり方が違います。
外国からのビザ申請では、まず在留資格認定証明書(Certificate of Eligibility/略称COE)を取得し、それをもとに住んでいる国の日本大使館や領事館でビザを申請します。
一方、日本にいるあいだの更新や変更は入管で行います。申請には、必要な書類を準備し、期限内に手続きをすることが大切です。
外国人が日本で長く滞在するためには、適切なビザを取得する必要があります。ビザ申請の基本的な流れは次のとおりです。
日本での受入れ機関(勤め先の会社・通っている学校など)が、入管に在留資格認定証明書の申請を行います。在留資格認定証明書が発行される期間は、ふつう1か月から3か月とされます(標準処理期間)
在留資格認定証明書を受け取ったら、申請した人は母国の住んでいる地域を管轄する日本大使館または領事館でビザの申請を行います。査証の申請には、在留資格認定証明書のほか、有効なパスポートや申請書などの必要書類が必要です。審査が完了すれば、査証が発給されます。
日本に到着後、空港で入国審査を受けます。審査に通ると、入国が許可され、在留資格が正式に付与されます。3か月以上滞在する人には、在留カードが交付されます。これで、日本での生活を始めることができます。
※参考1:入国・帰国手続(出入国在留管理庁)
※参考2:在留資格認定証明書交付申請(出入国在留管理庁)
在留資格の有効期限が切れる前に、更新手続きを行う必要があります。更新申請ができるのは在留期限の約3か月前からです。申請では、下の一覧にある書類を提出しなければなりません。
在留期間更新の申請先は、住んでいる地域を管轄する入管(さがすときはこちら)です。審査には数週間から1か月ほどかかります。審査に問題がなければ、新しい在留期限が与えられ、入管の窓口で新しい在留カードを受け取ることができます(郵送・窓口申請の場合)
なお、在留期間の更新はオンライン申請が便利です。事前に利用者登録をしておけば、24時間365日申請でき、在留カードも郵送で受け取ることが可能です。
<画像作成:オンライン申請のイメージ>
※引用:在留申請のオンライン手続の流れについて(出入国在留管理庁)
不許可になったときは、早めに専門家(行政書士など)に相談しましょう。通常は出国準備のためのビザに変更となり、不当に日本で滞在し続けると罰せられてしまいます。
日本に滞在している間に、活動内容が変わる場合は、在留資格を変更する必要があります。たとえば、留学生が卒業後に日本で働く場合は「留学」ビザから「技術・人文知識・国際業務」など就労ビザへの変更が必要です。
在留資格を変更しなければならないのは、次のような場合です。
日本のビザ申請や在留に関する手続きは、わかりにくいことがたくさんあります。必要な書類が分からない、申請が不許可になった、在留資格の変更方法が知りたいなど、困ることもあるでしょう。そんなときは、専門の相談窓口を利用すると安心です。
日本には、外国人向けの無料相談窓口があります。ビザや生活について相談したいときは、入管や住んでいる地域の自治体のWebサイトを確認し、問い合わせ先がないかチェックしてみましょう。
■外国人支援センター(問合せ先の確認はこちら)
……各地域の外国人支援センターでは、ビザや仕事、生活に関する相談が無料でできます。対応言語も豊富です。
■住んでいる地域の役場
……市役所や区役所でも、外国人向けの相談窓口を設けています。生活全般の相談ができ、日本での暮らしをサポートしてくれます。
ビザ申請の手続きが複雑で分からないときや、確実に許可を得たいときは、日本のビザに詳しい行政書士に相談してみましょう。初めての相談は無料とする場合が多く、最初に費用を心配する必要はありません。
ビザに詳しい行政書士は、外国人に代わってビザの申請書類の作成をしたり、入管への申請(取次)を行ってくれます。日本の法令や、入管の審査基準、審査方法に通じているため、不安があるときは任せると安心です。
日本でビザを取得するには、自分に合った在留資格を選び、必要書類を準備し、期限内に申請することが大切です。困ったときは専門家や無料相談窓口を活用し、スムーズに手続きを進めましょう。
行政書士法人Luxentでは、日本で活動したい人を応援するため、ビザや在留資格のしくみに関するアドバイスや手続きのサポートを行っています。困ったときは、ぜひご相談ください。
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