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転職したときのビザの手続き

【行政書士が解説】技能実習から技術・人文知識・国際業務などの就労ビザへの変更は可能?成功と失敗の事例解説あり

こんにちは。行政書士法人Luxentの安藤です。
ビザナビJAPANをご覧いただきありがとうございます。

今回は多くの方からご相談をいただく「技能実習」から「技術・人文知識・国際業務」などの就労可能な在留資格への変更について、詳しく解説していきたいと思います。

「技能実習を終えた後も、日本でキャリアを積みたい」

「専門知識やスキルをいかして、正社員として働きたい」

このような希望を持つ元技能実習生は年々増えています。しかし、技能実習の制度上、他のビザのように変更後のビザの要件だけを満たせば良いものではなく、その特殊性が複雑にしています。

この記事では、なぜ変更が難しいのかという理由から、許可されるための複数のルート、そして実際の成功事例・失敗事例までを具体的にご紹介します。最後までお読みいただくことで、ご自身の状況を客観的に判断し、次の一歩を踏み出すための具体的なヒントが得られるはずです。

なぜ技能実習から他の就労ビザへの変更は難しいのか

まず理解すべきことは、技能実習制度の趣旨です。

技能実習
日本で培った技能や知識を母国に持ち帰り、その国の経済発展に貢献してもらう「国際貢献」が目的です。そのため、あくまで日本での活動は「実習」であり、労働力の需給調整の手段ではありません。

この目的のため、「技能実習の目的を達成した後は、一度帰国して母国の発展に貢献すること」を原則的な考え方としています。

そのため、技能実習から他の就労ビザへの変更申請は、「本来の目的から逸脱しているのではないか」という厳しい視点で審査されるのです。

しかし、この原則にはいくつかの例外的なルートが存在します。次章からその具体的な要件を見ていきましょう。

ルート① 技能実習の経験を「指導員」としていかす道(技術・人文知識・国際業務)

これは、優秀な技能実習修了者に認められる、限定的なルートです。技能実習で培った高い技術と経験を、後輩の技能実習生への指導という形でいかす場合に、「技術・人文知識・国際業務」への変更が認められる可能性があります。

このルートで許可を得るためには、以下の要件をすべて満たす必要があります。

  • 契約機関: 監理団体や実習実施者(元の会社など)と契約を結ぶこと。
  • 業務内容: これから来日する母国の技能実習生に対して、指導や講習、通訳などを行う業務であり、母国への技能移転に貢献する活動であると認められること。
  • 日本語能力: 日本語能力試験N2相当以上の高い日本語能力を有していること。
  • 業務量と内容: 指導員としての業務量が十分に確保されており、その仕事内容が、技能実習生が行うような現場作業そのものではないこと。
  • 実習目標の達成: 元の技能実習計画で定められた目標(技能検定の合格など)を達成していること。

このルートでは技能実習生への指導という、かなりまれで高度な仕事に限定されていることから、あまり一般的ではありません。

ルート②:一度帰国し、技術移転を完了した後に再来日する道(技術・人文知識・国際業務)

技能実習制度の本来の目的は、母国への技術移転です。したがって、最も正攻法といえるのが、このルートで、技能実習終了後に一度母国へ帰国し、日本で学んだ知見をいかして現地の企業などで働き、技術移転という責務を果たしたうえで、改めて日本の企業に就職するために再来日するというものです。

この場合、日本で行う手続きは在留資格「変更」ではなく、海外から呼び寄せるための在留資格認定証明書交付申請(COE申請)になります。申請時には一度帰国して技能移転を果たしていることを証明する必要があります。

このルートでは、以下のポイントが重要になります。

  • ①母国での技術移転の実績(在籍証明書や職務内容)
  • ②学歴と新しい職務内容の関連性
  • ③過去の在留状況の良好性

【ケーススタディ】成功事例から学ぶ(ルート②)

Aさん(ベトナム出身・28歳)の場合

経歴詳細
学歴ベトナムの大学で情報工学を専攻し、卒業。
技能実習日本の食品工場で3年間、製造ラインの管理業務に従事。(円満に修了)
帰国後の活動1年半、ベトナムの食品メーカーに就職。日本の品質管理手法を導入し、生産効率改善に貢献。
再来日後の転職先中小規模のIT企業。
職務内容自社開発の生産管理システムのプログラマー兼保守・運用担当。

成功のポイント

Aさんの在留資格認定証明書が交付された理由は、①技能移転の責務を完全に果たしたこと②学歴と職務内容の強い関連性③キャリアの一貫性を合理的に説明できた点にあります。

【ケーススタディ】失敗事例から学ぶ

Bさん(インドネシア出身・25歳)の場合

経歴詳細
学歴インドネシアの大学で経済学を専攻し、卒業。
技能実習日本の建設現場で3年間、とび職の技能実習に従事。(円満に修了)
帰国後の活動帰国後、特に就職はせず半年ほど過ごす。
再来日後の転職先貿易会社。
職務内容主に倉庫での梱包・発送作業と、簡単な事務作業。

失敗(不許可)のポイント

Bさんの申請が不許可になった理由は、①職務内容が単純労働と判断されたこと②学歴と職務内容の関連性が不明確であったこと③技術移転の実績がなかったことが挙げられます。

番外編:技能実習と関連分野の「特定技能」へ変更する道

これまで解説してきた「技術・人文知識・国際業務」とは別に、技能実習修了者が選択できる現実的なキャリアパスとして特定技能への在留資格変更があります。

技能実習2号を良好に修了した人は、技能実習の職種と関連性のある分野の「特定技能1号」へ変更する場合、技能試験と日本語試験が免除されます。 これにより、技能実習で培った専門スキルを直接いかして、引き続き日本で働くことができます。

特定技能1号から2号へ、介護職は専門ビザへ

特定技能には2号があり、永続的な更新が可能で、永住への道も開かれます。

また、介護分野は技能実習(介護)を修了後、「特定技能1号(介護)」へ移行し、実務経験を積みながら国家資格の「介護福祉士」を取得した場合、在留期間の更新に上限がない専門職の在留資格「介護」への変更が認められます。

これは、技能実習からスタートして、日本で長期的にキャリアを築き、永住も見据えることができる重要なルートの一つといえるでしょう。

まとめ:計画的な準備

技能実習から他の就労資格へのキャリアチェンジは、不可能ではありません。しかし、そのためには制度の趣旨を正しく理解し、適切な手順を踏む必要があります。
ある程度ビザに詳しい方でも、不許可になってから「不許可理由を見たけど、なぜ不許可になったか分からない」という相談が多い事例です。それでは、本人のモチベーションは下がりますし、費やした時間やお金を無駄にしてしまいます。企業の採用担当者が技能実習の経歴がある外国人を採用する場合には、ぜひこの記事を思い出していただけると幸いです。

  • ルート①(指導員): 非常に優秀で、後進の育成に貢献したい人向けの道。
  • ルート②(帰国→再来日): 技能移転の責務を果たしたうえで、新たなキャリアを築きたい人向けの、最も正攻法といえる道。
  • 番外編ルート(特定技能): 技能実習のスキルを直接いかしたい人向けの現実的な道。長期的なキャリアパスも開かれています。

もし判断に迷ったり、申請準備に不安を感じたりした場合は、私たちにお気軽にご相談ください。

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Luxent 安藤 光晴

記事を書いた人

行政書士 安藤 光晴 Mitsuharu Ando

行政書士法人Luxentは、福岡を拠点に全国対応しています。若さと粘り強さを活かし、外国人の方や外国人雇用が初めての法人様にも丁寧にサポートを提供しています。

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