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日本で「特定技能1号」という在留資格を得て働く人の中には「5年後はどうなるのだろう」「家族と一緒に日本で暮らせないだろうか」と不安に思っている方も多いでしょう。特定技能2号に移ることができれば、更新回数に制限がなくなり、家族も呼べるようになります。
ここでは、特定技能1号と2号の違いや、2号に移るための方法をわかりやすく説明します。
特定技能1号と2号には、大きな違いがあります。たとえば、日本にいられる期間、働ける仕事の種類、家族と一緒に暮らせるかどうかなどです。これらの違いを知ることで、自分の将来の計画が立てやすくなります。
まず、下の表で比較してみましょう。
| 項目 | 特定技能1号 | 特定技能2号 |
|---|---|---|
| 在留期間 | 法務大臣が個々に指定する期間(3年を超えない範囲/通算最長5年) | 3年、2年、1年又は6月(更新回数に制限なし) |
| 対象分野 | 16分野 | 11分野 |
| 家族帯同 | できない | できる(配偶者と子ども) |
| 技能レベル | 相当程度の知識または経験 | 熟練した技能 |
| 永住権 | 在留期間としてカウントされない | 在留期間としてカウントされる |
| 勤め先のサポート | あり | ない場合がある(法律上の義務がない) |
| 転職 | できる | できる |
特定技能1号と2号では、日本に住める期間が違います。
特定技能1号では、通常1年(3年を超えない範囲)の在留期間が与えられます。期間の更新はできますが、合計で5年までしか日本にいられません。
特定技能2号になると、3年、2年、1年または6か月のどれかの在留期間が与えられます。(2025年9月の時点では一番長くて3年です)。何回でも更新でき、更新できるかぎり無期限で日本にいられます。
特定技能1号と2号では、働ける仕事の種類(分野)が違います。特定技能1号でできる仕事の種類は、全部で16種類です。
特定技能2号は、16分野のうち11分野だけです。介護ビザがある介護分野と新しく追加された4分野については、現時点で2号への移行がありません。介護分野以外は状況を見て将来的に2号追加もあるかもしれません。
特定技能1号と2号の違いで生活への影響が大きいのは、家族と一緒に暮らせるかどうかです。
特定技能1号では、家族を日本に呼ぶことができません。妻や夫、子どもであっても、一緒に住むことは認められていません。これは、特定技能1号が長くても5年しか日本にいられない在留資格だからです。例外はありますが、とても限られた場合であり、ほとんどの人は家族と離れて暮らすことになるでしょう。
特定技能2号になると、一緒に生活できるだけの収入があることが条件となりますが、家族を日本に呼ぶことができます。呼べるのは、生活の面倒を見ている配偶者(妻や夫)と子どもです。
特定技能1号と2号は、仕事に必要なスキル(技能)で区別されます。特定技能2号の人は、特定技能1号よりも高いスキルが必要です。
あらかじめ特定技能1号について説明すると「相当程度の知識または経験」が必要です。これは、指示を受けながら仕事ができて、基本的な作業を一人でできるレベルのことです。在留資格「技能実習」で日本に来て、2号を無事に終えた人は、試験を受けなくてもこのレベルに達していると判断されます。
一方で、特定技能2号では「熟練した技能」が必要です。これは、自分で判断して難しい仕事をこなせたり、ほかの人に教えられたりするほど高いスキルのことです。求められる水準のスキルがあるかどうか試すため、特定技能2号の申請では、試験に合格することが求められます。
きちんと在留資格を得て日本で暮らす人は、滞在期間が10年以上・そのうち働ける在留資格が5年に達すると、永住許可申請ができます。
しかし、特定技能1号で滞在した期間は「永住許可申請に必要な滞在期間ではない」とされます。つまり、在留資格を更新して最長期間である5年まで日本で働くことになっても、永住権を得ることはできません。
一方、特定技能2号で日本に滞在した期間は、永住権をもらうときの必要な滞在期間にカウントされます。たとえば、日本の学校に5年通い、特定技能2号で5年働けば、永住許可申請への道が開ける可能性があります。
在留資格の種類が「特定技能」の外国人は、日本で生活するため、勤め先の会社からさまざまなサポートを受けられます。もっとも、特定技能1号から2号に変わることでサポートが手厚くなることはなく、むしろ今までのような支援がなくなる可能性すら考えられます。
特定技能1号の人を雇う会社は「1号特定技能外国人支援計画」を作って実行する義務がありますが、特定技能2号の人を雇う会社には義務はありません。これは日本での生活が長くなると自分でできることも増え、サポートも不要になる方が多いからだと思われます。
特定技能1号から2号に移るためには、いくつかの条件があります。主に、技能試験に合格することと、実務経験を積むことが必要です。あなたの仕事の分野によって、必要な条件が少し違うので、よく確認しておきましょう。
特定技能2号になるためには、技能試験に合格する必要があります。試験の内容は分野によって異なりますが、ほとんどは学科試験と実技試験の両方があります。
学科試験は、仕事に関する知識を確認するテストです。実技試験は、実際に仕事の技術を見せる試験です。合格率は高くても50%程度なので、しっかり対策しなければなりません。
特定技能2号に移るには、分野によって期間に違いはあるものの、多くは2年以上の実務経験も必要です。実務経験とは、実際に仕事をした期間のことであり、特定技能1号のあいだ複数の従業員に教えながら働いた期間などが含まれます。
実務経験は、2号技能試験の受験要件になっている場合もあり、各分野にあった証明書が必要です。
勤務先に証明してもらうケースがほとんどであり、勤務先とは転職した場合なども良好な関係を継続するようにしたいものです。
※参考1:在留資格「特定技能」(出入国在留管理庁)
※参考2:特定技能制度・外国人向けの特設ページ(出入国在留管理庁)
特定技能1号のまま働くか、それとも2号に移行するかどうかの判断は、多くの人を悩ませます。ここでは、日本で働く人からよくある質問に答えます。
A. 特定技能1号から2号に移行するとき、勤め先の会社を変えることはできます。転職のタイミングは、2号に移行するための「在留資格変更許可申請」の結果が出た後にしましょう。
働くための在留資格には、許可ごとに「どこで・どんな仕事ができるのか」といった条件があります。特定技能1号を持っている人については、勤め先にも「支援計画を作ること」などの条件があります。
特定技能2号への移行が完了し、自分にできる仕事・持っているスキルがはっきりとしたうえで、勤め先側の条件が1号の人を受け入れるときと比べてゆるくなったタイミングのほうが、転職はスムーズです。
A. 試験に合格し、必要な実務経験がある人なら、必ずしも「特定技能1号をもらってから2号をもらう」といった手順を踏む必要はありません。最初から特定技能2号の許可をもらうことができます。
ただし、実務経験証明書の書式は、国内の特定産業分野(指定された分野の産業)の所属機関(勤め先となる会社)について書くことが前提となっている場合がおおくあります。日本以外の国での経験については、実務経験として見てもらえるかどうか確認したほうが良いでしょう。
もっとも、特定技能1号で実務経験を満たしたものの帰国し、試験に合格して来日する場合などは、2号からスタートしやすいと考えられます。
もちろん1号の期間お世話になった勤務先とはしっかり話し合って転職すべきかどうかを見極めましょう。
A. 特定技能2号をもらったからといって、永住権も自動的にはもらえるわけではありません。永住権(在留資格「永住者」)の条件を満たしたときに、あらためて申請する必要があります。
なお、永住許可申請には、次のような条件があります。
特定技能1号では日本にいられる期間や義務的支援などの制限がありますが、2号の許可をもらうことで緩和されます。。1号から2号への移行には技能試験の合格と実務経験が必要ですが、今まで一生懸命働いてきた経験が必ず役に立つでしょう。
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