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外国人が会社をやめたときは、会社側でも外国人側でも14日以内に手続きが必要です。手続きしたからといってすぐにビザがなくなるわけではないものの、基本的にはなるべく退職前から就職活動を開始し、場合によっては特定活動ビザへの切り替えを実施しなくてはなりません。
ここでは、退職した外国人が知っておきたいビザ関連の手続きのポイントを解説します。
日本で働くための在留資格(就労ビザ)は、認められた仕事を続けることが条件になっていますが、退職してもすぐに不法滞在になるわけではありません。
ただし、ペナルティを受けないために大切なルールがいくつかあります。
勤め先の会社をやめたときは、会社と外国人のどちらも出入国在留管理局(入管)に届け出る必要があります。届出は退職から14日以内にする必要があり、外国人は「所属機関に関する届出」を行います。
退職について届け出たからといって、すぐにビザがなくなって不法滞在になるわけではありません。在留資格の取消しにならない限り、在留カードに書かれている期限までは日本にいることができます。
ただし、退職後3か月を超えるとビザの取り消しの対象となる可能性があります。その期間も引き続き日本のルールを守って生活するようにするとともに、なるべく期間内に新しい勤め先を見つけられるよう、就職活動を続ける必要があります。
また、ハローワークに行ったり、求人サイトに応募したりしたときは、もらった書類や応募したときの画面を残しておきましょう。
仕事をさがしているあいだにアルバイトやパートで働いて生活費を稼ぎたいときは、あらためて資格外活動許可をもらう必要があります。
なお、資格外活動許可がもらえるのは会社都合退職(リストラで勤め先をやめさせられた場合や、勤め先が倒産した場合など)に限ります。自己都合退職(自分の都合で会社をやめる場合)はもらえません。
資格外活動許可をもらうときは、ハローワークや元勤め先の会社でもらえる書類で「会社都合退職であること」を証明する必要があります。必要なのは、退職証明書、雇用保険被保険者離職票、健康保険・厚生年金資格喪失証明書などです。
日本国内で次に働く会社がみつからないか、さがせないままビザの有効期限(在留期限)が過ぎてしまうときは、特定活動(帰国準備のため許可されるもの)と呼ばれる種類のビザへの切り替えて、いったん帰る準備をしなければならないのがふつうです。
特定活動ビザに切り替わると、指定書と呼ばれる書類がパスポートに貼られます。このビザで日本に滞在できるのは、ふつう30日間か31日間です。
なお、会社都合退職のときは、特別に就職活動ができるビザに切り替えられるかもしれません。会社をやめさせられそうなときや、やめさせられてしまって困っているときは、行政書士に相談してみましょう。
▼指定書のイメージ
新しい仕事が決まったら、ビザの手続きも忘れずに行いましょう。転職先の仕事の内容によって、必要な手続きが変わります。間違えると今のビザで働けなくなったり、更新できなくなったりするかもしれません。ここでは、仕事が決まった後のビザの手続きについて説明します。
新しい仕事が、今のビザで許可されている活動の範囲内であれば、基本的には今のビザのままで働くことができます。例として挙げられるのは、技術・人文知識・国際業務という種類のビザ(技人国ビザ)でエンジニアとして働いていた人が、別の会社でまたエンジニアとして働く場合などです。
ただし、新しい会社に入ったときも、14日以内に入管へ「所属機関に関する届出」をしなければなりません。
絶対に必要というわけではありませんが、「自分のビザが転職先の仕事で働くことに問題はないのか」確認したいときには就労資格証明書という書類も事前に入管に申請してもらっておくと安心です。いまのビザで問題なく働けることを入管が証明してくれるもので、これがあると次回のビザ更新がスムーズに進む可能性が高まります。
もし、新しい仕事が今のビザで許可されている活動と違う種類の場合は、今のビザのままでは働けません。技人国ビザで通訳をしていた人が、ベトナムレストランで調理師(「技能」という種類のビザが必要)として働く場合などです。
このような場合は、新しい仕事内容に合ったビザに種類を変えるため、在留資格変更許可申請という手続きを入管で行う必要があります。この申請をして、許可をもらうまでは、新しい会社で働くことはできません。もし許可なく働くと、ルール違反になってしまいます。
申請には、申請書や顔写真のほかに、学歴や職歴を証明する書類、新しい会社の情報がわかる書類(会社の登記簿謄本や決算書など)、雇用条件書など、多くの書類が必要です。審査では、学歴や経験が新しい仕事内容に合っているかなど、厳しく確認されます。
会社を辞めた後のビザについて、いろいろと分からないことや心配なことがあると思います。ここでは、よくある質問とその答え、そして特に気をつけてほしい点をまとめました。手続きを間違えると大変なことになる可能性もあるので、しっかり確認しましょう。
退職して、そのまま日本で仕事を探さずに自分の国に帰る場合は、いくつかの手続きが必要です。これは「単純出国」と呼ばれます。
まず、住んでいた市区町村の役所で「転出届」を出します。このとき、マイナンバーカードも返却します。手続きは自治体にもよりますが、ふつうは帰国予定日の約2週間前からできます。届出は、航空券など帰国日がわかるものが必要です。
出国するときは、在留カードを返さなくてはなりません。日本で払うべき税金(住民税など)が残っている場合は、帰国前にすべて払うか、代わりに払ってくれる人(納税管理人)を決めましょう。
会社をやめたあとハローワークで手続きすると、やめた仕事の給料の額の一部が「失業給付」としてもらえます。失業給付がもらえる時期は、退職してから7日間に加え、会社をやめた理由によって異なる待機期間が経過した後です。
失業給付の待機期間は、会社都合だと0日、自己都合だと3か月間とされてきましたが、2025年4月以降は自己都合の1か月に短縮され、より使いやすくなりました。
また、日本の年金(国民年金や厚生年金)に6か月以上加入していた場合は、帰国後2年以内に限り「脱退一時金」というお金をもらえます。脱退一時金が申請できる期間は帰国後2年以内で、帰国する前は申請できません。
外国人が退職したときに必要なのは、14日以内に入管へ届け出ること、そして3か月以内に仕事をさがし始めることです。会社都合での退職の場合、新しい仕事が見つかるまで日本にいたい場合は「特定活動ビザ」への変更も考えましょう。
ビザの手続きで分からないことや心配なことがあれば、専門家に相談するのが安心です。行政書士法人Luxentでは、退職後のビザ延長や変更手続きについて、多くの外国人のサポートをしています。一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。
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